【 Xperia Z4 au版SOV31 】の使用感レポート

 現在、Xperiaアンバサダープログラムで一ヶ月モニターとしてお借りしているauXperia Z4 SOV31。今回は約3週間使っての所感をお伝えいたします。





<カラー>

 上段がZ3、下段がZ4
 カラバリ4色、ブラック・ホワイト・カッパー・アクアグリーンのうち、今回お借りしたのはアクアグリーン。







 このアクアグリーンが今回のラインナップのなかで一番綺麗なのではないかと思います。上品で爽やか。ただ、前々回のレポートでお伝えしたように、Z4では側面フレームが安っぽい色味になっており、高級感が損なわれております。それが一番顕著なのはカッパー。

 メッキ感が強く、残念です。
 カッパーほどではありませんが、ホワイト・アクアグリーン・ブラックでもフレームに艶あり。高輝度、艶がZ4でのコンセプトなのですが、艶のある美しさというものは、物体の芯からにじみ出てくるもの、溢れ出てくるもの。表面的なものはまやかしに過ぎません。素材感を活かしたカラーリングのはずが、逆を行っています。





ファーストタッチ
●形状
 タッチ&トライイベントで手に取って最初に感じたのは、フレームの端が凸になっており、握ったときに手のひらや指に当たって痛い、ということ。現在私の使っているスマートフォンはZ3なのですが、明らかに感触が違いました。

 Z3はフレームにガラスパネルを被せるような構造で、出っ張りが無くフレームの丸みが活きて握りやすい形状です。


 Z4は、フレームの中にガラスパネルをはめ込むような構造で、フレームに対してガラス面がお盆のように凹んでいる形状。フレームの縁が盛り上がっています。フレームの面に丸みがあっても端が凸になっているのでは、握ったときに丸みより尖りを強く感じてしまいます。角ばっているように感じるかもしれません。


 Zシリーズ最初のXperia Zでも同じように縁が凸でした。以来、シリーズが進む中で縁が尖ったり滑らかになったりの繰り返し。持ちやすさを考えたらどちらが良いかはわかると思うのですが、なぜなのでしょう?ガラスパネルの端を守るため、あるいはフレームをバンパー代わりにしてガラス面を守るためだとしても、フレームの縁を凸にして尖らせる必要はありません。


●軽量化
 もうひとつ、Z4を手にしてすぐに感じたのはその軽さ。




 Z4はZ3よりも8g軽量。わずかな差ではありますが、Z3ユーザーとしてははっきりとその違いを感じ取ることができました。


●キャップレスUSB


 防水防塵のためなかなか果たせなかったキャップレスUSBがついに。それにともない、マグネットコネクタ非搭載で左側面がすっきり。
 前回のレポートにも記述しましたが、USBポートでの充電だと不便で、端子が劣化・故障しやすくなります。残念に思っていたところ、米国Verizonで発売のXperia Z4vでは、なんとワイヤレス充電Qi搭載であることがわかりました。今後のXperiaではぜひともQi搭載を標準としていただきたいものです。


●SIM(UIM)トレイとmicroSDトレイの一体化、スロットのキャップ

 一体化ですっきりする反面、個別で抜き差しできない使いづらさがあります。

 蓋に対して付け根が斜めに生えていて、付け根を軸として回転させることができません(付け根の向きが固定されている)。そのため、トレイの抜き差し時、付け根に捻れが生じて劣化しやすく、壊れやすいのがこのタイプです。

 Z3では、蓋に対して90度に付け根が生えていて、付け根を軸として滑らかに360度回転させることができます。これにより、付け根に負荷がかかりません。
 細かい部分ではありますが、安心して使うには大切なところ。





 次に、Z4の動作について見てまいりましょう。



<最初のアップデート>
 イベント内で最初に起動したとき、即ソフトウェアアップデートがやってきました。そのままダウンロード&インストール。
 Xperiaアンバサダーでモニターとしてお借りするときはいつも開発機扱いになっていますので、バージョン情報などは省きます。






 さて、いよいよ本題です。
 今回モニターでお借りして実際に体感し状態を一番知りたかったのが、Snapdragon 810による発熱の影響です。おそらく多くの方が氣になっていることでしょう。



<発熱問題>
 Snapdragon 810搭載端末は、Xperia Z4に限らず他メーカーの端末でも過熱する現象が多発しています。メーカーのQualcommでは、発熱はチップ起因ではない、と否定していますが、たくさんの搭載機種で発生、Xperia Z4しかり。新しいバージョンのSnapdragon 810(ver.2.1?)なら改善されているという噂もありますが、正確なところはまだよくわかっていません。


 Z4の普段の動作自体はまずまずといったところですが、少し動きがカクついたりもたついたりするときがあります。そして、しばらく使っていると熱くなります。
 発熱は、カメラとゲーム利用時が顕著だと言われています。私はゲームをやらないのでわかりませんが、カメラは、しばらく使っていると確実に熱くなります!熱くなるのは、本体上部中央、FeliCaマークがある周辺。

 ↑ここが熱くなります。過熱すると警告メッセージが現れます。

 ちなみにこのメッセージの写真は、タッチ&トライイベント直後に数人で飲んでいるとき、みんなで料理を撮影していたうちの1台で警告が発生した様子です。
 3週間使っていて、私の借りた端末でも、カメラを連続で使っているときにはかなりの頻度で現れました。
 カメラを使うときはフレームをつまむようにして持っているので、たいてい発熱に氣づかないまま撮影しており、しばらくすると警告メッセージが現れてハッとする、ということが何度かありました。


 これはもう、「仕様です」!
 そう言いたくなります。


ブラウジング

 ぐりぐりとあちこちのサイトをブラウジングしているときにもかなり発熱します。本体上部中央あたりが、触れるのが辛くなる程度に熱くなります。本体の下半分を握ると持っていられます・・・
・動画視聴時

 多少発熱しますが、カメラ使用時やブラウジング時ほどは熱くなりませんでした。ほんのり程度。天候などの影響もあるかもしれませんが、私が何度か試した限りでは、動作不安定になるほどではありませんでした。


 SONY mobileでは今夏、発熱改善のためのアップデートを行うと先日表明しました。チップというハードが原因であるため、ソフト側でできることは限られています。現在でも多少処理速度を制限しているのでしょう、Z3のほうがストレスなく動いてくれます。Z4とZ3とのベンチマークテスト比較をネット上でよく見かけますが、どれも良い結果が出ているのはZ3。クアッドコアからオクタコアへスペックアップしたのがまるで嘘のよう。次のアップデートで、いまよりさらに処理速度を抑えることになるのでしょうか。なかなか難しい調整を迫られていることと思います。なんとか程よいバランスで均衡点を見つけ、維持されれば良いのですが。頑張っていただきたいものです。





<バッテリーの持続性>
 Z4のバッテリー容量は3100mAhのZ3より少し減って、2930mAh。Z4の省電力設計とAndroid 5.0 Lollipopの省電力対応により、平常時はZ3とさほど変わらぬ持続時間を実現しています。しかし、発熱時はどうしても消耗が激しくなります。


→検証のため、Z4とZ3を同じ状態・同じ動作のもと一日使ってみました。
●平熱時はほぼ同じバッテリー消費量
●Z4発熱時
 消費がZ3の1.3〜1.5倍に高まり、触れているのが辛くなるほどヒートアップしているときには、2倍近い電池の減り具合となりました。がつがつ使うときにはどうしても熱くなり、どんどん電池を食っていきます。バッテリーは熱に弱いため、劣化も早くなることでしょう。せっかく省電力対応をしているのに、非常にもったいない話です。
●SmartWatch 3 連携時
 スマートウォッチをBluetooth接続すると、当然ながらバッテリーの減り具合は増えます。Z4と連携してSW3を使った分、動かした分だけ減ります。





<急速充電>
 これは良いです、本当に速い。1時間で約60%充電できます。発熱で減りやすくなる分、急速充電でカバー。





<発熱時の工夫を推奨>
 ここまで見てきた通り、発熱しやすく、発熱したらその分バッテリーを消耗します。Z4使用時には工夫が必要です。
●ときどき休憩してクールダウンを行うことを基本とする
●発熱しやすいアプリ、負荷の大きい作業・動作では長時間使用を避ける・随時クールダウンを行う
 また、負荷軽減のため、バックグラウンドで動作する常駐アプリは少なめにする、あるいは避けたほうが良いかもしれません。
 まるで熱中症対策のようです。防水防塵なので水で冷やす、というのが良いかどうかは自己判断でお願いします。





 次は、私がよく使うカメラとAudioを中心に、Z4ならではの特徴を踏まえて見てまいります。



<カメラ>
●メインカメラ(リアカメラ)
 プレミアムおまかせオートとマニュアルとの比較
 居酒屋、オレンジの電灯の下で撮影
プレミアムおまかせ
マニュアル
プレミアムおまかせ
マニュアル
 プレミアムおまかせオートだと、全体的に赤っぽいというか黄色みがかっています。
 基本的にプレミアおまかせは思ったように撮れないので、いつものようにマニュアルに設定。


 Z3とZ4の比較

★風景
↓Z3

↓Z4


↓Z3

↓Z4

↓Z3

↓Z4



★接写
↓Z3

↓Z4

↓Z3

↓Z4


↓Z3

↓Z4

↓Z3

↓Z4



★夜景
↓Z3

↓Z4

 総じて、Z4はZ3よりほんの少し色が薄く写っています。あとは明るいところではほとんど差がなさそうですが、夜景で大きな違いが出ました。実際の色に近いのはZ4。




●フロントカメラ
 Z4はフロントカメラ強化が売りなので、私はほとんど使いませんが確認。
 同じような画像を撮ってZ3と比較。一枚目がZ3、二枚目がZ4の順番。
↓Z3

↓Z4


↓Z3

↓Z4


↓Z3

↓Z4


↓Z3

↓Z4

 接写では、Z4よりZ3のほうがはっきり写るように感じます。



遠景
↓Z3

↓Z4

↓Z3

↓Z4

 2Mから5Mに解像度がアップしていて、近景や遠景がはっきり見えるように調整したそうですが、接写ではZ3のほうがくっきり。遠景ではZ4が綺麗。よって、風景をバックにしてのセフフィー撮影にはZ4が良さそうです。





<Audio>
 Audioに関して、Z4がZ3と違う点は、
●LDAC対応あり
●ヘッドホン出力が96kHz/24bitから192kHz/24bitへアップ
●ヘッドセット音質補正(最適化)が手動から自動へ(他メーカーのヘッドセットにも対応へ)
の3点。
 この辺りは素敵な向上です。単体のWalkmanにまた一歩近づいて、良い音を奏でてくれます。
 要望としては、そろそろデジタルアンプ「S-Master HX」の搭載をお願いしたいところ。モバイル機器でしっかりと力強く音の増幅をしてくれるこのデジタルアンプは、サウンドを思いっきり楽しむには欠かせない要素です。次世代Xperiaに期待。



 Z4発売より少し前に、Walkmanアプリからミュージックアプリへ名称変更となりました。アプリのアイコンも変更。


バイノーラル録音
 タッチ&トライイベントのデモで良いなと感じたのが、臨場感あふれるリアルな音を録り再現する「バイノーラル録音」。
 試したものをYouTubeにアップしました。良いサウンド環境で視聴するほど、その場にいるような感覚になると思います。

 YouTubeにアップしてどうなるかなと思ったのですが、ある程度再現できていました。スマートフォンもここまできたか、と感心。これは楽しい!こうなってくると、ハイレゾバイノーラル録音ができるようになったら面白いことができるな、と妄想が膨らみます。



(追記:7月20日)
 明確な案内や説明がなかったため知らなかったのですが、Xperia Z3でもバイノーラル録音ができることがわかりました。試してみたところ、きちんと機能していましたので追記いたします。こっそり過ぎますSONYさん!





テザリング
au版Z4、ドコモ版Z4
設定→その他設定→テザリング

 ワンタッチテザリング、という項目が登場。NFCを使ってwi-fi接続。
 Bluetoothテザリングあり。


ソフトバンク版Z4
専用テザリングアプリ


 テザリングのために専用アプリを設けていることに驚きます。

 wi-fiテザリングのみでBluetoothテザリングはできず。ワンタッチテザリングも無し。

 通常、テザリングは「その他の設定」の中にあるはずが、ソフトバンク版ではここにはテザリング表記全く無し。







<まとめ>
 Xperia Z4は本当にZシリーズの完成形と言えるか、ふさわしいか?


 答えは 「NO」 です。
 惜しいところが多々あります。Z4を完成形と呼ぶのはいかがなものか、と実際に使っていて感じます。快適動作、安定性、高級感、使いやすさという点でZ3よりかなり劣る。Z3が「完成形」ではないとしても、完成度は高いです。バランスが良い。Z3でもぐりぐり使うと発熱はしますが、ほんのりあったまる程度。チップは重要だと改めて実感します。
 機能や性能でZ3よりも良くなっている・進化している面はもちろんありますが、問題点が際立ってしまっています。発熱軽減のため制限をかけ、本来の性能を発揮できない。それでも過熱し動作に支障をきたす、如何ともし難い状態。個人的には、「メイン端末としては安心して使えない」というのが正直なところです。サブ機としてなら、持っても良いなと思います。


 Z4ならではの機能、性能を活かした使い方、問題点を和らげる工夫をした使い方、それが望ましいでしょう。


 Z3が快適なだけに、Z4を使っていて切なさを感じました。Zシリーズの完成形であるZ4の次がZ5になるのか、新たなシリーズが登場するのかわかりませんが、次はしっかりとした進化と動作安定性・快適なバランス、高級感、使いやすさが備わることを祈ります。Xperiaアンバサダーが自信をもって皆に奨めることのできるものを力強く生み出していただきたいですね。